月経の異常(PMS、生理痛、過多月経、ミレーナ)
月経の異常(PMS、生理痛、過多月経、ミレーナ)
月経痛(生理痛)の原因となる子宮内膜症や骨盤内炎症は悪化すると不妊の原因にもなってしまいます。子宮筋腫や子宮腺筋症も知らずに放っておくと、気づいたときには重度の貧血になっていたり、手術をしなければならない大きさになっていることもあります。
また月経困難症によって学業や仕事がはかどらないなど月経困難症によって辛いだけではなく、さまざまなところに影響が出てしまいます。
まず「生理=月経」というのは子宮の中の膜が排卵後に出るホルモンの働きで分厚くなり、その内膜がいらなくなったために体の外に排出されるものです。痛みは子宮の内膜や血液を押し出すために子宮が収縮することで起き、これはプロスタグランジンという物質によって引き起こされます。
子宮の内膜でできるプロスタグランジンは頭痛や腰痛、吐き気といった症状も引き起こしてしまいます。
月経痛は、下腹の中心部がぎゅっと絞られるような痛みのことが一般的ですが違和感を感じる程度の人、仕事もできないほど痛い人、腰痛を感じる人など個人差が大きくみられます。
月経痛は通常は月経量の増える2日、3日目の時期に強く感じますが、月経の始まる直前に痛みを感じる人もいます。
月経困難症とは月経の直前または開始とともに現れ、月経が終わるとなくなる下腹痛や腰痛、頭痛や眠気などの症状が日常生活に支障をきたすほどひどいものを言います。また月経痛のほかにプロスタグランジンにより引き起こされる頭痛や腰痛、吐き気といった症状も含みます。
「生理の量」は人と比べることはあまりないので自分で多い、少ないがわからないことも多いと思います。チェックが入った方は気軽にご相談ください。知らない間に貧血になっていて、治療をしたら勉強や部活、仕事の効率が上がったという方もいますよ。
過多月経の定義としては一般的に月経血の量は20~140g、平均50~60gとされており、それを超えて月経血が異常に多いことを過多月経といいますが、実際に測るのは難しいため下記の症状がある場合に月経量が多いと判断しています。また過多月経の場合、貧血になることがあるので月経になるとめまい・動悸・疲れやすいなどの症状が出る人も過多月経が疑われます。
子宮の本体である筋肉の一部がゴムボールのような塊になる子宮筋腫。良性の腫瘍ですができる場所により症状も様々ですが特に子宮の中の空洞(内腔)に飛び出したようなタイプ(粘膜下筋腫)の人は月経が多くなることが多いです。
子宮本体の筋肉組織の一部に子宮内膜の成分が入り込むことで子宮の一部が分厚く、硬くなり、月経量が多くなったり月経痛が起きたりします。
子宮の中の膜がおできのように含む子宮内膜ポリープ。子宮の中の空洞(内腔)に飛び出し、過多月経や不正出血を引き起こします。
子宮の中の内膜が増殖する子宮内膜増殖症。子宮体がんの一歩手前といわれており、定期的な検査や治療が必要です。過多月経の中にはこうしたがんや前がん病変と呼ばれる悪性の可能性もあるので放置せずに一度受診してみましょう。
特に上記のような病気(器質的な原因)がなくても、ホルモンバランスの乱れで無排卵の場合などに過多月経が起きることがあり「機能的な原因」によるものといわれます。特に若い人や、閉経直前の人に多く見られます。
月経前になると眠かったり、イライラしたり、不安になったり、吐き気がしたりおなかが痛かったり…そんなことはありませんか?
PMS(月経前症候群)は、月経の前になると決まって不快な症状が現れ、身体的・精神的に日常生活にまで支障をきたすことをいいます。個人差はありますが月経前、3〜10日前くらいから症状が現れ、月経が始まるとともに軽くなり消失するのが特徴です。PMSが原因で学校や仕事のパフォーマンスが落ちることが明らかになってきていて、人生をより快適に過ごすためにPMSの治療は大切なことだと思います。
詳しい原因ははっきりとわかっていませんが、黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことがPMSの原因と考えられています。しかし、脳内のホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響を受けるため、PMSは女性ホルモンの低下だけが原因ではなく、多くの要因が絡み合って起こるといわれています。生活や仕事に影響が出るような場合は受診しましょう。
月経の3〜10日前くらいに現れるさまざまな症状のことで、個人差はありますが精神神経症状と身体症状があり、その症状は200以上ともいわれています。
精神症状が主体で強いものをPMDD(月経前気分障害)といいます。
ピルと同様、避妊や月経困難症の治療として使用されるものにIUS=intrauterine system(ミレーナ)があります。これは黄体ホルモンと呼ばれるホルモンが放出されるT字型のデバイスで一度子宮内に挿入すると5年間入れたままで効果を発揮します。
避妊効果としては99.8%とされています。避妊効果の指標としてよく用いられるパール指数というものがあるのですが、これは100人の女性が1年間その避妊法を使った場合に妊娠してしまう数を%で示したものですが、ピルは正確に正しく内服した場合約0.27%ですが飲み忘れなど考慮した一般的な飲み方の場合8%とされており、一方黄体ホルモンが放出されるIUSでは0.2%とされており、ピルの一般的な避妊効果より高くなっています。
ただし「避妊」はできても性感染症は予防できないので性感染症を予防するという意味でコンドームは必要になります。